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昭和30年代~50年代の地方私鉄を歩く 第14巻  甲信越の私鉄(3) 新潟県の私鉄

髙井 薫平

発行
フォト・パブリッシング
判型
B5判・並製
ページ数
200ページ
発売日
2022年12月13日
ISBN
978-4-8021-3367-8 C0026
定価
3,520円(本体3,200円+税10%)

新潟県にはかつて4つの電気鉄道と、1つの非電化軽便鉄道が存在しました。電気鉄道の一つは戦後に電化した762㎜軌間の軽便鉄道でしたが、廃止になる直前まで4~5両編成の電車が走っていました。
ところでご存じのように長野県川上村に水源をもつ大河千曲川は、新潟県下では信濃川と呼ばれ、新潟県の主要都市のひとつ長岡市を通って、県都新潟市で日本海に流れ込みます。この信濃川の流れが富を生み、新潟、長岡という二つの都市を形成したのだと思います。
ところが大河の流れにはいくつかの問題もありました。とくに私設鉄道にとって大河に橋をかけるという事業は経済的に負担でした。さらに官鉄が信濃川の対岸を走り、川の向う側に駅が作られると対岸の私鉄は厳しくなります。長岡鉄道は信濃川を渡ることができず、長岡駅の対岸に西長岡駅を作り、貨車の授受は国鉄線と連絡しやすいところまで支線を設けて貨車を通しました。新潟交通の場合は県庁に近い市の中心部に起点を設けましたが、人の流れを左右する国鉄新潟駅はやはり信濃川を渡らなければなりませんでした。一時期、市内線を延長し、新潟市内電車として計画が進んだ時期もありましたが、この計画は挫折します。その後も新潟交通は国鉄新潟駅乗り入れのため、色々策を練っていたようですが、最後に採ったのはバスとの連帯運輸でした。
もう一つの電車線である蒲原鉄道も当初から電車線でスタートした小さな鉄道で、都会から少し離れた村や町を結びました。路線は信越本線の加茂と磐越西線の五泉を結ぶ形で、途中の村松はこの地の中心地でした。農業地帯で頑張った鉄道に非電化の軽便鉄道、頸城鉄道自動車があります。「マルケー」の愛称で親しまれましたが、かつての百間町の車庫跡には、奇跡の復帰を遂げた車両たちが地元の人たちに見守られて健在です。
そのほか、越後の鉄道で忘れられないのが糸魚川にあった東洋活性白土の専用鉄道です。特筆すべきはそのトロッコを牽く機関車が蒸気機関車で、軌間が610㎜であったことも鉄道趣味者を惹き付ける魅力になっていました。本書はそれらの鉄道の魅力と活躍を後世に残す内容です。