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京浜急行沿線 とびきりの魚屋&酒の肴

西潟正人

発行
フォト・パブリッシング
判型
B5判・並製
ページ数
112ページ
発売日
2024年9月10日
ISBN
978-4-8021-3472-9 C0026
定価
1,980円(本体1,800円+税10%)

京浜工業地帯をひた走り、軍港をよばれた横須賀、浦賀まで。三浦半島の先は大根畑が広がる三崎口で、マグロ船が入港する三崎港だ。沿線は工業地帯や軍港に占領される前まで、のどかな半農半漁村だったに違いない。大森辺りの浅海には海苔ヒビが立ち、子安辺りはアナゴ漁だろうか。仕事着のまま、電車に乗り込むこともあったろう。
京急は今でも近所のおばさんが、割烹着のまま飛び込んできても不思議ではない。また比較してしまうが、JRの匂いは会社員の通勤着で、京急のそれは仕事着だ。だれもが人肌の匂いを漂わせている。
 京急は泉岳寺から品川を通り三崎口まで、途中の逗子で相模湾へ抜けるが、全線はほぼ東京湾に沿って南下する。生麦には魚河岸通りもあり、「魚っ食い」には見逃せない駅が連続する。労働者が集うのは居酒屋ばかりとは限らない、お昼の蕎麦屋や定食屋で意外や、美味しい刺し身が出たりする。ネット情報だけでは得られない、とっておきの店を足で探し集めたのが本書である。
 魚っ食いは、魚屋を覗くのも好きだ。スーパーの魚売り場ではなく、街の路面の魚屋が消えようとしている。京急沿線では、頑張っている元気な魚屋も見つけた。魚を買えば、魚は肴、肴は酒菜である。酒呑みは自ら肴を造る、これまた愉しからず也。
 カツオを1尾買い、内臓で造る自家製酒盗もいい。コノシロの新子を開いて、酢で締める。ヤリイカを開いて、縁側に干す。こんな作業をしながら一杯、ちびりと呑るのもたまらない。魚で肴、簡単料理レシピも添えてみた。