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資本主義からの脱出 ムダの効用の話

田中 潤

発行
歴史探訪社
判型
四六判・並製
ページ数
208ページ
発売日
2024年11月26日
ISBN
978-4-8021-3488-0 C0030
定価
1,870円(本体1,700円+税10%)

中華街から冷やし中華が消えたこと、エッセンシャルワーカーが低賃金なこと、選挙の投票率が上がらないこと……どれも私たちがいつの間にか資本主義的考え方に囚われてしまったせいなのでは?

資本主義は、これからも私たちの生活に不可欠なのでしょう。
とはいえ、資本主義は、社会経済システムの一つの特徴に過ぎないはずです。私たちの社会は資本主義だけで成り立っているわけではないことを思い出しましょう。資本主義的合理性一辺倒の考え方ではなく、倫理や道徳を意識した生き方こそ、結果的に利益をもたらすのです。まさに公益の思想です。
本書では、ビジネス、商い、近所づきあい、音楽、スポーツなど、さまざまな日常の場面での、資本主義による弊害と、今注目されている「思いやり資本主義」「倫理資本主義」の具体例を紹介、資本主義の利益優先の概念からの脱出について考えます。  

私たちが今囚われている資本主義の利益優先の概念から脱出できた時、もっと豊かな人生が待っているはず。  

【目次】
はじめに 
第一章 思いやりをムダに託して
        無駄にはならないムダ
        大谷選手の思いやり 
        ムダをいとわぬ脳を育てる   
        飛込み営業はムダ命 
        大和魂  
        情けは人の為ならず  
        デジタルな心にはムダが必要  
        ある職人の独白 
        AIが相手では情感が湧かない
        人の世に不可欠なモノは無駄話
        会社の中でこそ必要な非合理性
        社会保険料とAIの相性は
第二章 人は相手が喜ぶとなぜ豊かな気持ちになるのか
        横断歩道は見知らぬ人との交流の場
        コスパ人生の危うさ
        自然環境を商品にする資本主義
        無駄ではない〝ムダな仕事〟
        エッセンシャル産業と矛盾グラフ
        他人(ひと)の話に耳を傾ける
        公益活動の本質はムダにあり
        ムダな手間をかけた料理の味
        助け合いを日常化させるために
        雨ニモマケズは百年前のムダのすすめ
        資本主義による破壊を止めるムダ
        究極のムダ お葬式
第三章 人に関心を持ってこその人生
        定年を迎えた人は社会の人材
        一時の感謝は忘れやすい
        注意する相手への気遣い
        安楽死と非合理
        営業トークとムダ心
        時代遅れという歌の魅力
        テイカーとギバー
        無駄は選挙にふさわしい
        思いやりの反対は無関心
        もったいないとムダ
        会計事務所にもムダが必要
        信頼されるムダ心ある弁護士
 第四章 資本主義からの脱出
        資本主義にムダを加えよう
        日本人は見知らぬ人にも命を懸ける
        他人(ひと)のコミュニケーションで喜怒哀楽
        思いやり資本主義の提唱
        無駄がたっぷり必要な結婚
        コミュニケーションの大切さを忘れた百貨店
        顧客とのコミュニケーションを断る事業者
        飲食店のお国文化
        人が奏でる楽器と電子音響機器
        豊かなる単純再生産
        他人に無駄をさせない
 第五章 一期一会をムダに生きる
        道徳に個性あり
        ストライキが無くなったワケ
        営業 それはムダの心
        日本社会に少なくなるムダ
        読書の醍醐味
        ムダが溢れる寿司屋文化
        電子メールと礼儀と落し穴
        相手を讃える
        ますます光るライブ音楽家
        渋沢栄一のムダの哲学
        ヒトの本性に根差す非合理性